神戸は茅葺きの宝庫!
文化財から現代的な作品まで楽しめる田園ツアー
緑豊かな自然と人が共存する里山の風景が魅力の神戸市北区。実は日本でも有数の茅葺き屋根の民家が残る地域で、その数はなんと約700棟。岐阜県の白川郷のような集落こそないものの、少し歩くだけで数多くの茅葺き屋根の民家を見ることができます。また、茅葺き職人集団「くさかんむり」による現代的な作品に触れられるのもこのエリアならではの魅力です。
神戸農村エリアで地域活性化に取り組むKOBE NOURISM所属の伊藤さんがガイドとなって、「くさかんむり」の職人さんと一緒に茅葺き屋根をめぐる里山歩きツアーを開催しています。今回は、郷愁誘う昔ながらの茅葺きから現代的な取り組みまで、茅葺きの魅力がたっぷり感じられるツアーをインスタグラマーのウラリエさんが体験!


緑豊かな自然と人が共存する里山の風景が魅力の神戸市北区。実は日本でも有数の茅葺き屋根の民家が残る地域で、その数はなんと約700棟。岐阜県の白川郷のような集落こそないものの、少し歩くだけで数多くの茅葺き屋根の民家を見ることができます。また、茅葺き職人集団「くさかんむり」による現代的な作品に触れられるのもこのエリアならではの魅力です。
神戸農村エリアで地域活性化に取り組むKOBE NOURISM所属の伊藤さんがガイドとなって、「くさかんむり」の職人さんと一緒に茅葺き屋根をめぐる里山歩きツアーを開催しています。今回は、郷愁誘う昔ながらの茅葺きから現代的な取り組みまで、茅葺きの魅力がたっぷり感じられるツアーをインスタグラマーのウラリエさんが体験!


国の重要有形民俗文化財にも指定されている下谷上農村歌舞伎舞台からツアーがスタート。農村歌舞伎とは江戸時代から親しまれている稲刈り後の農民の娯楽で、自分たちで演じる歌舞伎のこと。下谷上の舞台も1840年に建てられ、以来修復や屋根の葺き替えを続けて、現在も定期的に農村歌舞伎が開催されています。裏返し機構の付いた花道や回転する舞台など、全国的にも珍しい農村舞台となっています。
「茅の材料はススキやヨシ、稲藁。その地域でたくさん採れる植物を使います。風雨にさらされるので20~30年で葺き替える必要がありますが、使い終わった茅は植物なので土に還る。自然と共存し続けられるのが茅葺きの魅力です」とガイドの伊藤さん。下谷上の舞台の茅葺き屋根は、前回の修繕工事から20年程度経ち、近々葺き替える必要があるそう。
「草が生えてて緑色になってて、めっちゃ雰囲気ある!昔話に出てきそう!」とウラリエさん。年月の経過が楽しめるのも茅葺きならではの魅力です。

風情たっぷりの緑の茅葺き屋根はそろそろ見納め。葺き替えられて下谷上の舞台はまた新たな時を刻みます。

「近くでしっかりと意識して見たことなかったけど、改めて見ると一本一本が集まってしっかり雨風を防いでるってすごい!」とウラリエさん。

神戸の屋根の材料は主にススキが使われており、屋根によっては稲藁も使われているそうです。屋根の裏側の見えるところは一番きれいな茅を敷くのだとか。
「ずっと見てても飽きない~」
実はトタンの下は茅葺き!
山田町は茅葺き屋根がたくさん。




周囲の田畑に朱色のトタン茅葺き屋根が映える成道寺。月2回座禅会も開催。
昔は茅葺き屋根だったんだろうなと思う形状の屋根の民家も、実はトタンの下は茅葺きのままなのだそう。トタンでカバーした茅は水分が入ってこない限り、何十年も美しい状態が維持できます。トタンの補修は葺き替えるよりもリーズナブルなため、トタンでカバーするお宅が増えているそうです。トタン屋根も含めるとなると、山田町は本当に茅葺き屋根の宝庫で、あちこちに茅葺き屋根の民家を見ることができます。
朱色のトタンが印象的な成道寺も茅葺き屋根のお寺です。室町時代に創建され、現在も大般若で使用されている経典の巻物は博物館級という600年以上の歴史を持つ曹洞宗のお寺。遠くからでもわかる朱色のトタン屋根が目印となっていて、地元の皆さんに愛されています。

20年ほど前にトタン茅葺きにした際に色は住職さんが決めたのだそう。副住職さんが出てきてお寺や山田町のお話を聞かせてくれました。

観音様へのお参りのときには直接行けるように離れに続く太鼓橋は取り外し可能。
鐘つきは自動で冬は17時、夏は18時に鳴るそう。「こういう音が暮らしに根付いてるのも田舎暮らしの醍醐味ですよね」とウラリエさん。
現代的な茅葺きに触れられる
淡河宿本陣跡でひとやすみ。



区画整理が進み、四角い田畑が増えるなか、山田町は昔ながらの里山風景が残る町。山田町の茅葺き民家を楽しんだ後は、淡河宿本陣跡へ。江戸時代から残る建物で、60年ほど空き家になっていましたが、現在はカフェやワークショップが楽しめる観光スポットに。映画「るろうに剣心」のロケ地としても使用された淡河宿本陣跡には茅葺きの見どころがいっぱい。施設内にある淡河戎神社は淡河町の茅葺き職人集団「くさかんむり」が手掛けたもの。屋根はもちろん、壁面も茅葺き。実は茅葺きは日本だけでなく世界中にあり、この壁面の技術はオランダでよく見られるものだそう。また、入口の案内カウンターも茅葺きの技術を使ってつくられたもので、茅葺きの可能性を感じさせてくれます

淡河宿本陣跡にある淡河戎神社。「壁まで茅でできていて、あたたかみがあってめっちゃいい!」とウラリエさんも絶賛しながら参拝。

「屋根は高くて触れないけど、壁とか什器なら茅に触れられるのもいい。気持ちいい~」と案内カウンターを撫でるウラリエさん。

外観はもちろん中の雰囲気も抜群。カフェメニューもあり、ゆっくりとした時間が過ごせます。
最近葺き替えられたばかりの
南僧尾観音堂。




これぞ茅葺き屋根!という見事な仕事が見られる南僧尾観音堂。
ラストは2020年に葺き替えられたばかりの茅葺き屋根が見られる南僧尾観音堂へ。室町時代後期に建てられ、兵庫県の指定文化財にも登録されています。古い茅葺き屋根と新しい茅葺き屋根を見比べることができるのが、このツアーならではの醍醐味。建物自体の遺存状態も素晴らしく、5年前に吹き替えられたばかりの茅葺き屋根の美しさを堪能することができます。「周りも草木に囲まれてて気持ちいいところですね」とウラリエさんもリラックス。
「くさかんむり」の茅倉庫も見学、茅葺き屋根になる前の茅を見ることもできました。

「断面も裏も茅がぴしっと揃ってて見応えがありますね」とウラリエさん。澄んだ空気の中で心地よさげ。

「くさかんむり」の茅倉庫でガイドの伊藤さんと。「コツを掴めば簡単ですよ」と意外と重たい茅の束を放り投げる伊藤さんに「それも技術なんですね、すごい!」とウラリエさん。
古きをたずねて、新しきを知る。
茅葺きの魅力に触れるツアー。



北区にはたくさんある茅葺き屋根ですが、現代の建築基準法では新しくつくることは難しいとのこと。「くさかんむり」は「新しいことをはじめないと、文化は残らない」と住宅の屋根だけでなく、店舗や公共の建築物、モニュメントや什器、アートワークなど、新しい茅葺きにも数多く取り組んでいます。
さまざまな茅葺きに触れられて、「昔ながらの茅葺き屋根も良かったし、こんなところにも茅葺きって使えるんやっていうのがわかって面白かったです」とウラリエさんも大満足。
温故知新の茅葺きの魅力を茅葺き職人と一緒に楽しめるツアー、みなさんもぜひ体験してみてください!

道の駅フルーツ・フラワーパーク大沢にある茅でつくられたBE KOBE。葺き替え・解体時に出た古茅を使用し、「O」は資源循環の円環に見立てて新しい神戸産の茅で作られているとのこと。

神戸で有名な茅葺き屋根の民家。日本最古と推定される民家のひとつである山田町の箱木千年家。ツアーのコースに入ることも。

「このススキが屋根になってほんとすごいですよね。昔から今に続く技術ってすごいなあ」とツアーを振り返って、茅葺きの魅力に目覚めるウラリエさん。
この日のウラリエさんのスケジュール
神戸電鉄有馬線箕谷駅→下谷上農村歌舞伎舞台→成道寺→淡河宿本陣跡→南僧尾観音堂→神戸電鉄有馬線箕谷駅(車移動)
ツアー概要
茅葺き職人といく!
温故知新を肌で感じる神戸茅葺きツアー
体験場所:神戸市北区周辺(山田町、淡河町、八多町、大沢町など)
プログラムの詳細は神戸観光局が運営する着地型観光プラットフォーム
『神戸のとびら』に、開催が決まり次第掲載されます。
https://kobe-door.feel-kobe.jp/
-
実施主体 : KOBE NOURISM
- メール info.kobe.nourism@gmail.com
- Facebookhttps://www.facebook.com/people/KOBE-Nourism/61561108336371/



江戸時代から続く農民の娯楽、
農村歌舞伎の舞台へ。