見て触れて感じる、
新しいかたちのミュージアム
最近は写真撮影はOKの美術館も増えましたが、美術館といえば「静かに鑑賞し、美術品にさわるなんてもってのほか」。そんなイメージを覆すのが「六甲山の上美術館さわるみゅーじあむ」。小さなお子さんから大人まで、誰でも展示されている美術品すべてに触れて感じることができる美術館です。見るだけではわからない作品の重さや細やかな技術に気づくことができ、目が見えない人もさわることでアートを体感することができます。
六甲山の上にあるゆったりとした空間でぞんぶんに芸術に触れ合える、そんな体感型ミュージアムをウラリエさんが体験!


最近は写真撮影はOKの美術館も増えましたが、美術館といえば「静かに鑑賞し、美術品にさわるなんてもってのほか」。そんなイメージを覆すのが「六甲山の上美術館さわるみゅーじあむ」。小さなお子さんから大人まで、誰でも展示されている美術品すべてに触れて感じることができる美術館です。見るだけではわからない作品の重さや細やかな技術に気づくことができ、目が見えない人もさわることでアートを体感することができます。
六甲山の上にあるゆったりとした空間でぞんぶんに芸術に触れ合える、そんな体感型ミュージアムをウラリエさんが体験!

六甲山スノーパークの駐車場脇の立て看板が目印!


「こんなところに美術館があったなんて」と神戸通のウラリエさんも驚く立地。人工スキー場、六甲スノーパークから少し歩いたところにある「六甲山の上美術館さわるみゅーじあむ」は、大手鉄鋼メーカーの保養所だった建物を矢野茂樹さんと貴美子夫妻さんが購入し、13年前にミュージアムとしてオープンしました。「健常者とか障がい者とか関係なく、子どもから大人まで、どんな人にも本物の美術作品を感じてほしいという想いでつくったので、すべての作品をさわることができます」と話す矢野さんご夫妻。
館内には石彫、宝石彫刻、絵画、陶器など、さまざまな時代や国の美術品が常時約60点展示されています。入口に行くまでにもすでに作品が並んでいて、箱の中身に作品が入っていて手探りで何か当てるゲームなどもあり、楽しみながらアートに触れることができます。

箱の中身を当てるブラックボックス。「見ないで触ると…わからんもんやなー。なんか丸いけど……ライオンかな?んー、面白い~!」と楽しむウラリエさん。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの聖火トーチも展示。「見るだけじゃなくて持てるのはテンション上がる!」とウラリエさん。重さを体感できるのも嬉しい。

いろんな美術品がずらりと並ぶ館内。矢野さん夫妻がそれぞれ作品について解説してくれることもあり、アットホームな雰囲気で作品に触れることができます。
国立博物館に並ぶような貴重な作品にもさわれる!
感動の体験が続々。




「酒の神バッカスと酒を飲む婦人」。副館長の貴美子さんの解説により詳しく作品を知ることができるのも魅力。「バッカスは筋肉がすごくてゴツゴツ、女性は滑らか。さわって初めて気づくことがあって面白い」とウラリエさん。
館長の矢野茂樹さんは百貨店勤務で宝飾品を扱う仕事をしながら、「もっといろんな人が自由に感じられる美術館があったらいいのに」とアイデアを20年間温め続けて実現したのがこのミュージアムなのだそう。
置いている多くの作品は国立博物館に並ぶような貴重なものばかり。メインホールでは彫刻作品を中心に、さわりながら鑑賞することができます。最初に出迎えてくれたのは、ドイツのマイスター、カメオの手彫り作家アレイ・ドーマーの作品。2005年に開催された愛・地球博のドイツ館でも公式展示された作家です。カメオは瑪瑙や大理石、貝殻に浮き彫りをした工芸品のこと。
数ある芸術品の中でも彫刻作品は立体感があるので、さわることでよりさまざまなことに気づき、見るだけではわからない体験ができます。

こんなふうに光に透かして、瑪瑙(メノウ)の美しさを感じることができるのも、さわるみゅーじあむならでは。ガラスケースの中で展示されているだけではわからない発見がたくさん。

鉱物の層によって色合いが違うことを生かしたカメオ。職人の技術のすごさや瑪瑙の美しさを原石と比べて知ることもできます。「こんな硬い鉱石からこんなキレイな作品ができるんや…」とウラリエさんも驚き。
すごい作品の数々を体験した後は
囲炉裏でひとやすみ。



愛・地球博で展示された「平和の詩」は8.5kgの希少なファントム水晶を1.7kgまで削って作られた巨匠ドーマーによる女神像。緊張しつつも「ひんやりしてて、質感、重さを自分の手やからだで体感させてもらえるのはすごい」と女神像を抱っこするというなかなかできない体験をするウラリエさん。
また、メインホールにある囲炉裏を囲んで、館長副館長夫妻にお話を聞くことができるのもこの美術館の醍醐味。「盲学校の生徒さんが修学旅行で来られて、はじめて美術館や美術を楽しいと思えたと言ってくれて嬉しかった」「最初は指1本でおそるおそる触れるような子も、最後は両手で触るようになって、最後は積極的に私の手を引いてこれはなに?と聞いてくるようになる。さわることで好奇心がパッと花開くような瞬間があるんだと思う」とこれまで来られたお客さん1人ひとりの体験を愛おしむように話す夫妻に、ウラリエさんも感激する場面も。

ファントム水晶でできた真っ白な女神像は光の反射で見る人によっては黒目が見えるのだとか。ウラリエさんには見えませんでしたが、皆さんもぜひ見えるかどうか確認してみてください。


美術品を堪能する合間に一息つける囲炉裏では、館長と副館長を務める矢野さんご夫妻からいろんなお話を聞くことができます。「目が見えない人は時間をかけてじっくりさわられる人が多いので、見える人よりも細かいことに気づくことが多く、私たちが教えられることもあります」と貴美子さん。

ミュージアムは盲導犬はもちろん、ペットも同伴可。ミュージアムにも保護猫から引き取った猫ちゃんが自由に歩いています。
アートもロケーションも最高!
新しい発見ができるミュージアムへ。



展示室の一角には「ブラックルーム」も。入口で体験したブラックボックスの中に入ったような、真っ暗な部屋の中で彫刻作品を手でさわって鑑賞できるというもの。この部屋の中で飲み物を飲むといつもと違う味がするという人もいるのだとか。普段、いかに私たちが視覚に頼って生活しているかを実感することができます。
ほかにも彫刻を中心に仏像や絵画などさまざまな作品があり、コンパクトながらも見どころはたくさん。「手袋なしで素手でさわることができるから、いつも以上にいろんな発見がありました。山の上の空気や景色も楽しむことができてパワースポットだなって思いました。めっちゃ元気がもらえた!」とウラリエさんも大満足。
新たな発見にあふれた、六甲山の上美術館さわるみゅーじあむ。ぜひ皆さんも体験してみてください!

ずしっとした重量を持って感じられるグリーンアベンチュリンクオーツの花瓶。光を通す薄さは技術の高さによるもの。光に当てるととってもキレイ。

この日はまだ雪が残る六甲山でしたが、春になったら新緑ごしに瀬戸内海まで一望できるテラス。「めっちゃ見晴らしよくて最高。あたたかくなったらまた来たいな~」とウラリエさん。

美術品に加えて、世界の珍しい楽器などもあり。もちろん触って実際に音を出すこともできます。ドイツ生まれの竪琴“ライアー”に挑戦するウラリエさん。

「お2人の解説のおかげでより知識を深めながら作品に触れることができました」とウラリエさんも感謝。アットホームな雰囲気が魅力の美術館でした!
この日のウラリエさんのスケジュール
六甲山の上美術館さわるミュージアム
ツアー概要
さわるみゅーじあむのSDGs
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実施主体 : 六甲山の上美術館さわるみゅーじあむ
- 実施日:通年(10:00~17:00 木曜定休)
- 料金:大人(中学生以上)1,000円、子供500円
- 所要時間:2時間
- 住所:神戸市灘区六甲山町北六甲4512-808
- 電話:078-894-2400
- https://www.rokkoartmuseum.com/



六甲山の人工スキー場近くにある
「六甲山の上美術館さわるみゅーじあむ」。